11 Jun 2019

アスリート必見! アスリートが引退後のために身につけるべきスキルは〇〇だ!
TBS「プロ野球戦力外通告 クビを宣告された男達」を筆頭に、スポーツ選手の引退後の生活について密着したテレビ番組が放送されるようになり、社会的にもアスリートのセカンドキャリアについて考える機会が与えられるようになってきました。
近年では、Jリーグがキャリアサポートセンターを設立(2013年廃止)したり、NPBやBリーグが民間人材紹介会社と提携してセカンドキャリアサポートを行ったり、文部科学省スポーツ庁がスポーツキャリアコンソーシアムを設立したり、多くの民間企業が元アスリートの人材紹介・採用に積極的に力を入れたりとスポーツ選手のセカンドキャリアの支援制度はかなり手厚くなってきているように思えます。
今回は、スポーツ選手やアスリートの引退後のセカンドキャリア支援制度について、そもそもセカンドキャリア支援制度とは何なのか、国・競技団体・民間企業がどのような内容で支援を行っているのかを明らかにし、現状の支援制度の問題点と未来の展望を考えたいと思います。
スポーツ選手・アスリートのセカンドキャリア支援制度とは?
まず、本題に入るまえにそもそもスポーツ選手のセカンドキャリア支援制度とはどのようなものなのか、理解しておきましょう。
世間的に、セカンドキャリア支援制度や転身支援制度という言葉が登場したのは、人件費や定年を迎えた際の退職金の増加による人員削減を迫られた企業が社員に早期退職や起業・転職を促し始めた2010年前後のことです。
中にはリストラまがいの内容の制度を突き付けられたと炎上した企業もありましたが、現在では積極的に独立やキャリアアップを目指すための制度と捉えられることが多くなっているようです。
では、スポーツ選手・アスリートにとってのセカンドキャリア支援制度とはどのようなものなのでしょうか?
現在、国・競技団体・民間企業が主に行っている支援は、現役のアスリートにキャリア形勢についての啓蒙活動、引退したスポーツ選手の就職先の斡旋、積極的な元アスリートの中途採用です。
文字に起こすと「え?ただの人材紹介業ではないか!」と思うかもしれませんが、スポーツ選手のそれは一般的なサラリーマンのそれとは大きく異なります。
では、国・競技団体・民間企業が行うアスリートの引退後の支援について詳しく見ていきましょう。
スポーツ庁が行うスポーツ選手のセカンドキャリア支援制度
スポーツ庁は、「スポーツキャリアサポート推進戦略」を受託している日本スポーツ振興センター(JSC)と共にスポーツキャリアサポートコンソーシアムを設立し、アスリートのキャリア支援を行っています。
「アスリートが競技者としてのキャリアも人としてのキャリアもどちらもあきらめずに、その両方で自らの可能性を最大限に発揮するためのチャレンジ可能な社会を目指す」ことをビジョンとして、これまで各競技団体・大学・民間企業がそれぞれに行ってきたセカンドキャリア支援を一元化することを目的としています。
支援内容としては、アスリートのデュアルキャリアの促進を後押しするためのカンファレンスやトークイベントを行ったり、実際にジュニアアスリートに向けたキャリア教育プログラムを実施したりしています。
現役のアスリートや未来のアスリートに対してデュアルキャリアの考え方を浸透させ、スポーツキャリアとライフキャリアを両立することが常識になるように支援を行っています。
各競技団体・大学が行うスポーツ選手のセカンドキャリア支援制度
各競技団体は、Jリーグではキャリアサポートセンターを設立したり、NPBやBリーグでは民間人材紹介会社と提携してセカンドキャリアサポートを行ったり、大学では就職サポートを行ったりとそれぞれに支援を行っています。
独自のキャリアサポートを始めたJリーグは、2002年に設立以降、現役選手のキャリアデザイン支援や選手の引退後の支援を行っています。2010年以降は、主にJクラブ加入3年目までのプロやアカデミーの若手選手を中心としたキャリア教育に重点を置き、2013年からはトップチームからアカデミーに至るまで選手のキャリアデザイン支援業務をJクラブと共に取り組んでいます。
NPBやBリーグは、セカンドキャリアについてのアンケートやセミナーを実施して啓蒙活動を行ったり、一般社団法人日本プロ野球選手会がSBヒューマンキャピタルと共にイーキャリアNEXTFIELDをスタートしたり、日本バスケットボール選手会がイーキャリアNEXTFIELDと連携したりと民間の人材紹介会社と連携しながらセカンドキャリア支援を行っています。
支援内容としては、若手選手に対するキャリアについての教育、セカンドキャリアを意識し始めた選手のキャリア形成の支援、引退後の職業斡旋が主になります。
先に述べた国の支援よりもさらに具体的なセカンドキャリア支援が行われています。
民間企業が行うスポーツ選手のセカンドキャリア支援制度
国や各競技団体だけでなく、人材紹介業としてスポーツ選手やアスリートの職業斡旋を行う民間企業もここ数年で急増しています。
ビジネスとしての可能性だけではなく、アスリートのセカンドキャリアが社会問題として扱われるようになったことの証明でもあるでしょう。
サービス概要は、企業によって様々ですが、アスリートや体育会系人材の中途採用の需要がある企業へ引退したアスリートを紹介するサービス、現役アスリートのうちからキャリア形成についてコンサルタントのカウンセリングを受けられるサービス、引退後の転職・再就職のサポートを行うサービス、教育や資格取得(士業など)のサポートを行うサービスなどが主になります。
国や競技団体ではカバーしきれないアスリート個人の支援が行われています。
アスリートのセカンドキャリア支援に取り組む主な民間企業一覧
- エイジェックグループ
- アスリートライフサポート(グリットグループホールディングス)
- イーキャリアNEXTFIELD(SBヒューマンキャピタル)
- アスリートキャリアパートナー(山愛)
- リスタンダード
- スポナビキャリア
- アスリートエージェント
など
上記の民間企業が斡旋する主な就職先企業一覧(公表一部)
- ローソン
- 東急リバブル
- レオパレス
- ラルフローレン
- 東京海上日動
- 日本郵便
- ゼビオ
- サンドラッグ
- ユニクロ
- アサヒビール
- セブンイレブンジャパン
など(全業種の企業が参画しています。)
アスリート・スポーツ選手のセカンドキャリア支援の現状が抱える問題点
ここまで、アスリートやスポーツ選手に対する国・競技団体・企業・大学のセカンドキャリア支援の現状について詳しくみてきました。
国がセカンドキャリア(デュアルキャリア)についての方針を打ち出すと共にマインドセットを行い、競技団体や企業や大学がそれぞれ具体的な支援を行っているという今の支援制度はアスリートにとってとても有益であると思います。
今後も官民が連携して支援制度を充実させれば、必ず日本独自のセカンドキャリア支援が行えるようになるでしょう。
ただし、引退後に企業に就職して定収入を得ることがセカンドキャリアの正解なのかという問いに向き合い続けることは大切でしょう。
キャリアに正解などありませんが、現状のアスリートのセカンドキャリア支援は「どこかの企業に就職すること」が正解になっているように思います。
全く否定する気はありませんし、引退後のアスリートのセーフティーネットとしての機能を十分に果たす素晴らしい仕組みだと思います。
これの仕組みのおかげで引退後に破産や不祥事・犯罪などの悲惨な失敗によって、転落人生を歩まなくてはいけないアスリートは確実に減るでしょう。
ただし、一概に引退したアスリートといっても立場は様々です。
高卒の人もいれば大卒・社会人卒の人もいて、日本代表レベルの人もいれば下部リーグで細々と競技人生を続けてきた人もいて、年齢も20代の人から50代の人までいて、男性もいれば女性もいて…。
だから、全てのアスリートがセカンドキャリアでもそれぞれにとっての成功を実感できるような仕組みへと発展させていくことが今後の展望となるでしょう。
まとめ
さて、今回はアスリートのセカンドキャリア支援制度について見てきました。
僕はこのような支援制度の充実だけでは、セカンドキャリアの問題は解決しないと考えています。
なぜなら、セカンドキャリアを生きるのはその人だからです。
アスリート自身が競技で培った様々な力を競技固有のスキルとしてではなく、「ライフスキル」として昇華するようにしなくてはいけません。
そうすればデュアルキャリア(アスリートとしてのキャリアと人としてのキャリアを生きている)という考え方を自然と受け入れることができ、人生の中で自然なセカンドキャリアに進むことができるようになるでしょう。
アスリートは、競技スポーツも仕事も自分を豊かにするための手段でしかないということを理解し、どのキャリアにおいても人としてどうありたいかを問い続けられる”哲学者”であるべきなのです。
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