アスリート・スポーツ選手の引退後の生活とは?セカンドキャリアのリアルすぎる実態

最近は、スポーツ選手の社会的価値が認識され、国(スポーツ庁)・競技団体(プロ野球、Jリーグなど)・民間企業・実業団・大学など様々な側面からセカンドキャリア支援制度の整備が進んでいます。

しかし、引退後の生活に満足できている元アスリートはそう多くないのが現状です。

就職あっせんによって中途採用で会社員になれたとしても、収入を得るためだけに仕事をする毎日の繰り返し。

現役アスリート時代の刺激的な日々と比べると、退屈に感じてしまうのは仕方ないでしょう。

今回は、アスリート・スポーツ選手の引退後の生活について、極端な成功例・失敗例にはあえて触れずによりリアルな声を紹介し、それをもとにどうすればセカンドキャリアでも豊かな生活を送ることができるのか考えたいと思います。

プロ野球選手も現実思考?引退後のセカンドキャリアはサラリーマンが第1位に

さて、本題に入る前に現役アスリートのセカンドキャリアに対する意識について興味深いデータが発表されていたので、紹介したいと思います。

日本野球機構が毎年秋に若手選手を対象に調査を行っている「セカンドキャリアに関するアンケート」にて、2018年は引退後にやってみたい職業1位に「一般企業で会社員」が選ばれました。

これまでは指導者や海外・国内独立リーグで現役を続けたいという回答が多くみられましたが、調査開始以降初めて「一般企業で会社員」という選択肢が選ばれたのです。

また、実際に2018年の戦力外通告、年齢、技術・体力の衰え等で現役を引退した選手の進路調査の結果をみても、野球以外の道に進んだ人の中で未定・不明を除くとほぼ全員が一般企業に就職していることがわかります。

つまり、アンケート結果や引退選手の実際の進路をもとに考えると、プロ野球選手も引退後は定年退職を迎えるまで安定した収入を得る生活したいという「安定志向」が強まっているといえるでしょう。

「2018年セカンドキャリアに関するアンケート」(日本野球機構)

「2018年戦力外/現役引退選手の進路調査結果」(日本野球機構)

アスリート引退後のリアルすぎる生活実態とは?

では、実際に現役引退後に一般企業に就職してサラリーマンとなった元アスリートはどのような生活を送っているのでしょうか?

以下、スポーツ選手・アスリート引退後に会社員になった人のインタビュー・対談記事のまとめです。

※()内はセカンドキャリアに選んだ職業です。

スポーツ選手が引退後の生活を豊かに暮らすために必要なこと

では、スポーツ選手引退後の生活の現状を把握したところで、セカンドキャリアでより豊かな暮らしをするために必要なことを考えてみたいと思います。

ここでいう豊かさというのは、収入などの経済的な豊かさに限らず、やりがい・生きがいなどの精神的な豊かさも含まれます。

なぜなら、会社に雇われて仕事をすることで安定した収入を得られたとしても、働く・生きる意味を見失えばそれは豊かとは言えないからです。

僕は、会社員であれば経済的な安定がある程度担保されているからこそ、精神的な豊かさをどのように見出すかが重要だと思います。

では、どのようなことを意識すれば精神的な豊かさを手にすることができるのでしょうか?

アスリートとして得たライフスキルを引退後の生活で生かす

セカンドキャリアで生き生きと活躍している人は、競技生活で得たスキルを引退後の仕事や生活でも生かせていることが多いです。

特に、アスリートは一般人よりも厳しい環境を乗り越えてきたことが多く、高いライフスキルを獲得しています。

ライフスキルとは、「日常生活に生じるさまざまな問題や要求に対して、より建設的かつ効果的に対処するために必要な能力」であり、 簡単に言うならばよりよく生きるために必要な技術・能力・生活技能を意味します。

だから、「自分はスポーツしかやってこなかったから…」と卑下するのではなく、「スポーツしかやってこなかった」からこそ得られた高いライフスキルをどう生かせるのか考えるべきなのです。

そうすることで、社会に出ても活躍できるだけでなく、自己肯定感が高まり、社会人としての自分に自信を持つことができるでしょう。

引退後のセカンドキャリア生活に人としての目標や夢を持つ

セカンドキャリアでも豊かな生活をしている人は、人としての目標設定が明確になっていることが多いです。

ただ収入を稼ぐためだけに仕事をするのではなく、「自分が頑張ることでアスリートの社会的価値を高めたい」とか、「もう一度会いたいと思われる人になりたい」とか、「自分の市場価値を高めたい」とか、「いつかは独立起業して経営者になりたい」とか、大目標を持つことが重要です。

これは現役のアスリートにも同じことが言えます。

長い間アスリートとしての目標達成のために打ち込んでいると、アスリートである前に人であることを忘れ、人としての夢や目標を見失ってしまうことがあります。

すると、最悪の場合はアスリートでない自分はなんのために生きているのかがわからなくなり、バーンアウトしてしまうのです。

競技人生は自分の人生の一部であることを理解し、それ以外の世界に興味と接点を持つことが重要なのです。

そうすることで、引退後も追いかけられる競技以外の人としての目標や夢を抱くことができるでしょう。

アスリートとしてではなく人として自分と向き合う

引退後の生活でもアスリートのキャリアを引きずってしまう人は、アスリートとしての自分と人としての自分を切り離すことができていない傾向にあります。

もし、アスリートとして活躍した自分こそ本当の自分であるという認識を持ち続けていると、引退後に豊かに生きることは難しいのは明らかでしょう。

アスリートという経験で人としてどのような成長を得られたのか、これから人としてどうありたいのか。

アスリートとして頑張った自分に感謝し肯定しつつも、それを人としての自分にどのように落とし込み、それをこれからどう生かし、新たな夢に向かっていくのかを考えるべきなのです。

いつまでもアスリートとしての過去の栄光に縋っていては前に進めないのです。

まとめ

今回は、アスリート・スポーツ選手の引退後のリアルな生活事情を紹介しました。

僕は、先に紹介した「サラリーマンにもなれない!?はじめての「就活」元プロスポーツ選手現実は厳しい」の記事はとてもリアルに感じられました。

とても前向きに働いている人がいる一方で、「家族のために働くしかない…」、「生活のためにとりあえず働かないと…」と仕方なく働いている人がいるのも現実です。

このあたりはアスリート本人の問題としてだけでなく、今後のセカンドキャリア支援における課題といっても良いでしょう。

アスリートを引退してからの人生の方が長い。

これは昔からずっと言われ続けていることですが、まだその長い人生をより良く生きる方法は確立されていません。

これからのスポーツ選手のセカンドキャリアがよりポジティブなものになるように、考え行動し続ける必要があるでしょう。

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