アスリート・スポーツ選手のセカンドキャリアにおける就職と転職の現状

スポーツ選手のセカンドキャリアというと一般企業に就職したり、元々籍を置いていた会社から転職したりというのが最もメジャーな選択肢でしょう。

最近はスポーツ界のセカンドキャリア問題を社会的な課題として考え、引退したアスリートの就職斡旋などのセカンドキャリア支援を国(スポーツ庁)・各競技団体(Jリーグ・プロ野球など)・民間企業が積極的に行うようになっています。

これらの支援は、引退後のアスリートの生活のセーフティーネットとして機能し、怪我や戦力外通告などで競技生活を絶たれた人から自発的に引退を決めた人まで仕事に就き収入を得ることは保障されるようになるでしょう。

今回は、スポーツ選手やアスリートのセカンドキャリアの就職・転職の現状として、よく選ばれている就職・転職先の企業について情報をまとめ、アスリートに向いている仕事はなんなのか、そもそも現役引退後に就職すべきなのかを考えたいと思います。

スポーツ選手がセカンドキャリアに選ぶ就職・転職の進路先とは?

冒頭でも述べたように、プロスポーツ選手は引退後に一般企業へ就職する、実業団アスリートは所属先企業に社員として残るか心機一転転職するケースがセカンドキャリアの王道といえるでしょう。

日本野球機構が発表しているプロ野球における2018年戦力外/現役引退選手の進路調査結果のデータでは、野球関係(選手・監督コーチ・球団職員・解説者)以外の道を選んだ選手32名のうち未定・不明14名を除いた18名中16名が一般企業に就職をしています。

また、実業団アスリートの多くは所属先企業に残るものの、同年代社員との差を痛感し転職をするケースも少なくありません。

つまり、引退後に社会に出る人のほとんどが一般企業への就職もしくは転職を選んでいるということです。

実際にアスリートが引退後に就職した企業・職業一覧

競技名就職/転職企業・職業
野球就職外資系証券会社(債券営業)
野球就職保険代理店(営業)
レスリング転職(アルソック)ソニー生命保険株式会社(ライフプランナー)
水泳就職星野リゾート(星のや東京)
スキー就職株式会社TRAC
陸上(マラソン)残留富士通株式会社(企業スポーツ推進室)
ハンドボール進学・就職大崎電気工業
柔道残留・進学コマツ(コーチ)
ビーチバレーボール就職東レ・プレシジョン(営業)
野球就職アクセンチュア(株)
サッカー就職ウェディングプランナー・カード会社
バスケットボール転職(JXTGホールディングス株式会社)株式会社ブル・ファイト
野球就職株式会社セールスフォース・ドットコム(営業)
サッカー就職テレビ朝日名古屋支局(営業)
相撲就職白寿生科学研究所(店長)

※データは書籍・インターネット上の情報をまとめたものです。

※引退後のセカンドキャリアで活躍しているアスリ―トのインタビュー記事はこちら

セカンドキャリアとしてスポーツ選手に向いている仕事とは?

上の表を見てもわかるように、元アスリートだからといって必ずしもスポーツ関連の会社に入るということはなく、保険会社やコンサルティング会社、カード会社など様々な業界の企業の中途採用で就職・転職を決めています。

また、ポジションとしては営業が多くなっていますが、これも求人の絶対数における営業職の割合が多いので、アスリートの特徴とは言えないでしょう。

確かに営業の掴みとして元スポーツ選手というの多少有利にはたらくこともありますが、そこから先は営業としての能力が試されるため、一概に向いているとは言いきれません。

では、スポーツ選手にはどのような仕事が向いているのでしょうか?

僕は、厳しい競技生活を送る中でスポーツ選手は他の人よりも優れたライフスキルを手に入れていると思います。

例えば、厳しい練習や指導に耐える「忍耐力」、目標に対する課題を発見して解決する「問題発見・解決能力」、目標を達成するまで取り組む「完遂力」などがそれに当たります。

アスリートは、確実に一般的なサラリーマンよりも高い次元のライフスキルを持っています。

セカンドキャリアにおいても、そのライフスキルを生かすことがその後のキャリアアップにも直結するでしょう。

だから、生活をするため・収入を稼ぐためだけに仕事をするというのはもったいないでしょう。

僕は「この仕事を選べば高いライフスキルが生きる!」ということはなく、「高いライフスキルを生かす働き方」をすべきだと思います。

そのためには周りの一般的なサラリーマンの常識に合わせずに、自分が納得できるレベルまで働くことが一番の近道だと思います。

そうすることでライフスキルの差で自然と社会の競争に勝つことができるでしょう。

アスリートは引退後に会社に就職すべきなのか?

アスリートやスポーツ選手の引退後を追っていくと、セカンドキャリアのスタートは会社に就職してサラリーマンをやっていたとしても、その後かなりの割合で転職や起業をしています。

そもそもセカンドキャリアとは「第二の人生における職業」のことを意味し、セカンドキャリアの最初の職業として会社員が選びやすいだけなのです。

僕はこの事実やアスリートの高いライフスキルを鑑みると、一般企業の会社員というのは合わないと思います。

セカンドキャリアのスタートは社会に出る準備としての会社員であっても良いと思いますが、その後は会社内で自分でビジネスを回せる立場になるか、独立して自分で事業を作る立場になるかの方が向いていると思います。

なぜなら、アスリートは「自分の目標を設定して、目標に対する課題を発見し、その課題解決に取り組み、目標を達成する」という自己完結型目標達成の能力が非常に高いからです。

だから、会社が設定した大きな目標とそれに対して細分化された課題を与えられて解決するのが仕事のいわゆるサラリーマンは向いていないのです。

「これやって、あれやって」と指示をされて動くことも出来なくはないでしょうが、「もう少しこうすればいいのに」と物足りなさを感じるはずです。

もちろん、アスリートといっても人それぞれなので一概には言えませんが、アスリートのセカンドキャリアの現状をみると一度企業に就職した後に、転職や起業をしているケースが多いのはそのためでしょう。

まとめ

今回は、スポーツ選手・アスリートの引退後の就職・転職の現状をみてきました。

調べを進めていくうちに、引退後に社会で働いている人が仕事(ライスワーク)以外に、セカンドキャリア支援(ライフワーク)をしている人が多いことがわかりました。

自身がセカンドキャリアを生きるうえで感じた課題を解決するために今取り組んでいるのでしょう。

僕はこのようなスポーツ選手・アスリートならではの課題解決に対する能力は群を抜いているだと思っています。

「社会に出たことがないから…」というのは決してディスアドバンテージだけではありません。

社会の常識を知らないからこそ無理だと言われてきた社会的課題を解決できるのではないでしょうか?

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