セカンドキャリアは準備が大切!現役アスリート・スポーツ選手が引退前にすべきこと

スポーツ選手の引退後のセカンドキャリア問題が社会的課題として取り上げられるようになった昨今、国(スポーツ庁)や各競技団体だけでなく民間企業も独自のセカンドキャリア支援制度を設けるなど、活動が広がりつつあります。

しかし、周りが出来ることはあくまでもサポートであり、セカンドキャリアの成功・失敗の鍵を握るのはアスリート本人であることは変わりません。

未だに引退したアスリートが不祥事や犯罪を起こしたり、詐欺に騙されて破産したりなど悲惨な転落人生を送るケースは少なくありません。

これらの問題も引退後の仕事や生活といったセカンドキャリアがきちんと構築できれば、未然に防げるものでしょう。

今回は、アスリートやスポーツ選手がセカンドキャリアを成功に導くために重要な現役のうちにしておくべき準備について考えたいと思います。

スポーツ選手がすべき引退後のセカンドキャリアのための準備とは?

アスリートのセカンドキャリアというと引退後に会社に就職・転職して職に就ければ御の字といったイメージがあります。

しかし、セカンドキャリアがただの「生活に必要な収入を稼ぐための仕事」になってしまうのはいかがなものかと思います。

きちんと現役のうちから準備をしておけばスポーツ選手としてのキャリア以上に輝くセカンドキャリアを手に入れることも可能なのです。

では、どのような準備をすべきか具体的に考えてみましょう。

セカンドキャリアの準備その1:必ずアスリートを引退する日が来ることを理解する

競技スポーツの世界にいるアスリートであれば、自分は必ず素晴らしい結果を残して成功すると信じてやまないでしょう。

もちろん、競技者であればそのような心持ちでなければいけないと思いますが、現実はそうはいきません。

ほとんどのアスリートが思い描いたような結果を残すまえに、怪我や戦力外によって急に引退の日を迎えることになるのです。

また、長く続けることができたとしても必ず年齢による体力の衰えによって引退を迎えることになります。

つまり、サラリーマンに定年退職があるようにアスリートにも必ず引退する日がくること、そしてそれは突然訪れるかもしれないことを理解しておくことが必要なのです。

セカンドキャリアの準備その2:アスリート以前に人としての自分の志を知る

「アスリートとして必ず引退する日が来る」ということを理解すれば、アスリートとしての自分だけでなく人としての自分について考える重要性に気付くことができるでしょう。

多くのアスリートが20代半ばから30代半ばで現役を退くことになります。

人生100年時代と言われる今、残り70~80年は1人の人として生きることになるということです。

そのため、人としてどのような志を持っているのか、どのようなことに幸せを感じるのか、自分にとって何が大切なのかといった人生の目標や価値観を現役のうちから自問自答することが大切です。

アスリートとしてのゴールは決して人としてのゴールではありません。

だからこそきちんとどのような人生を生きたいのかを常に明確にしておくことが重要なのです。

セカンドキャリアの準備その3:キャリアについて自立意識を持つ

現役を引退するまで一度も社会に出ることのないアスリートにとって、様々なセカンドキャリア支援は必要だと思います。

しかし、他力本願になってはいけません。

なぜなら、冒頭でも述べたようにセカンドキャリアを歩むのは自分自身だからです。

キャリアについて、周りの意見を聞く柔軟性を持ちながらもすべてを鵜呑みにせず、人としての志を達成するために自分の判断で決めることが重要です。

「社会のことはわからないから」と考えることを放棄せずに現役のうちから社会との接点を持ち、「自分で作り上げるんだ!」という意識を持つことが重要です。

セカンドキャリアの準備その4:スポーツキャリアを振り返る

アスリートは、厳しい競技スポーツの世界で生き残りをかけて、日々努力を積み重ねています。

そのため、日常生活では得られないほど高いライフスキルを手に入れることができます。

ライフスキルとは、「日常生活に生じるさまざまな問題や要求に対して、より建設的かつ効果的に対処するために必要な能力」を意味します。

つまり、アスリートは日々の選手活動の中で今後のキャリア形成に生きるライフスキルをどれだけ身に付けているのか自認することが大切なのです。

例えば、厳しい指導や練習に耐えることで「忍耐力」、目標を達成するために課題を見つけることで「問題発見能力」、目標を達成するまで続けることで「完遂力(目標達成能力)」が身に付きます。

スポーツ選手の多くはこのような高いライフスキルを持っているにもかかわらず、「私は競技しかやってこなかったので…」自分で認識出来ていないケースが多いです。

つまり、常日頃からスポーツキャリアを振り返り、次のキャリアに生かせるスキルを備えていることを理解し、人としての自己肯定感を高めておくことが大切なのです。

セカンドキャリアの準備その5:デュアルキャリアを意識する

さて、ここまででアスリートとしてのキャリアと人としてのキャリアという2つのキャリアが存在していること、そしてそれぞれは分離したものではなくお互いのキャリアで得たスキルは変換できるということを理解できたでしょう。

これは一般的にはデュアルキャリアと呼ばれ、アスリートとしてのキャリアを全うすることを第一に考えながらも、そのすぐ隣に流れている人としてのキャリアにも意識を向けましょうという考え方になります。

そうすること将来に無駄な不安を抱くことなく競技者人生を全うすることができるだけでなく、セカンドキャリアにもスムーズに移行することができるのです。

セカンドキャリアの準備その6:パラレルキャリアを構築する

最後に、デュアルキャリアの考え方を採用するならば現役のうちからやっておきたいパラレルキャリアについて考えましょう。

パラレルキャリアとは複数の職業を兼任することを意味し、ここではアスリート・スポーツ選手の他になにか仕事をすることを意味します。

このときに意識するのが「人としてのキャリア」です。

人としての志・幸福といった人生の目標を達成するための仕事を現役のうちから並行して始めることで、アスリートとは違う軸を持ったキャリアを歩むことができるようになります。

例えば、サッカーの本田圭佑選手や長友佑都選手や永里優季選手のように海外で選手として活躍しながらビジネスを起こして実業家としても活動しています。

アスリ―ト全員がここまで完璧なパラレルキャリアを目指せるとは思いませんが、現役のうちからもう1つなにか仕事を持ったり、今後やりたいことに必要な資格があれば取得したりと工夫をしてもう1つのキャリアを実際にはじめてみることこそ、最強のセカンドキャリアの準備と言えるでしょう。

まとめ

「アスリートは現役のうちからセカンドキャリアの準備が必要だ。」

この考えについて「2足の草鞋を履いて成功できるほどスポーツの世界は甘くないぞ!」、「現役のうちから逃げ道を作るなんて言語道断だ!」という反論をする方もいるでしょう。

これは1つの考え方なので決してどちらが正しいとかどちらが間違っているということでありませんし、人によって向き不向きがあるので絶対にこうすべきというものでもありません。

しかし、アスリートの多くは引退後のセカンドキャリアについて本質的な準備が出来ていないあまり、自分の人としての価値を社会に還元できずに燻っているという現状は確かにあります。

だから、現役のうちに「自分にとってセカンドキャリアとは何なのか」を考え、準備を進めることに価値はあるのではないでしょうか?

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