体育会大学生の引退後の就職・セカンドキャリアの現状とは?

 

2019年の大学進学率が53.7%となり、大学の体育会に所属するアスリートも増えてきました。

「大学を卒業してから競技を続けるのか辞めるのか」

「大学で辞めるならどんなキャリアを歩むのか」

真剣に考えなければならない体育会の学生が増えたということです。

今回は、引退を決めた体育会の学生がどんな就職活動をするのか、引退後はどんな就職先でキャリアを築いていくのかについてお伝えします。

体育会の学生で就職するのは9割

体育会に所属する学生が卒業後、就職するのはどのぐらいでしょうか。

1学年に約4000人が在籍する都内の有名私立大学で見てみましょう。

体育会の学生は1割に当たる約400人で、卒業後に競技を続けるのは、そのうちの1割ほどの約40人と言われています。

つまり、体育会の学生の9割が就職します。


実際に株式会社マイナビが、一般社団法人大学スポーツ協会(UNIVAS)と共同で行い、2021年3月に発表した「運動部学生の就職に関する意識調査」でも、同様の数字が表れています。

「現在取り組んでいる競技について、卒業後どのようにかかわりたいですか」という設問に対し、「プロとして競技を続ける」が4.0%、「(実業団など)競技者として就職し、競技を続ける」が5.2%と、競技だけを続けていくアスリートは合計9.2%でした。


ただ、日本のスポーツを支えた実業団チームは休廃部が相次いでいます。

最近でも、陸上の日清食品やDeNAが活動を休廃止し、ラグビートップリーグのコカ・コーラジャパンが2021年いっぱいでの活動休止を表明しました。

新型コロナウイルスの影響による不況もあり、大学卒業後に競技を続けるのが厳しい時代を迎えそうです。

一方で競技を続ける、続けないにかかわらず、「一般就職をする」と回答した体育会の学生は9割近くにのぼりました。

具体的には「一般就職はするが、競技者として競技を続けたい」が10.8%、「一般就職をして、競技には趣味程度にかかわる」が最多の45.8%、「一般就職をして、その競技の指導者を目指す」が10.1%、「一般就職をして、競技にはかかわらない」が21.8%でした。

体育会の学生が就職活動で必要なことは?

さて、体育会の学生の9割近くが就職することがわかりました。

では、体育会の学生はどんな就職活動をするのでしょうか?

基本的には一般の学生と同じプロセスを踏みます。

企業の説明会に足を運び、エントリーシートを送り、書類選考に通過したら、何度かの面接を経て内定を得る、という流れです。

就職活動で企業が広報活動を解禁するのは、大学3年生の3月です。

この時期までにエントリーシートに書く内容を固め、進みたい業界の方向性を明確にしておきたいところです。

ただ、体育会の学生は3年生の12月ごろまで大会に追われ、オフシーズンに入って就職活動に取り組み始めるという人が大半です。

加えて企業が求める「明確な強み(行動特性)」を持ち合わせているのに、言語化に時間がかかる人が多いのです。

例えば「厳しい練習を経て目標を達成する」、「集団の中で自分の役割を見つけて果たす」、「チームをまとめたりする」といったものです。

半面、忙しい体育会学生をサポートしようとする取り組みも増えています。

例えば、大学のキャリアセンターが体育会の学生に限定した企業説明会を行います。

ある有名大学のラグビー部では、寮で企業説明会が行われたこともあります。

年々増加する体育会学生向けの就職エージェントは、担当のアドバイザーがエントリーシートの添削や求人のあっせんも行ってくれます。

情報を自らキャッチし、サポートを受けながら、「自分の強みは何か」を明確にしていきましょう。

体育会学生の就職先とキャリアの現状は?

体育会の学生は卒業後、どんな企業に就職しているのでしょうか。

志望業界は様々で、食品やスポーツ、銀行などの金融、学校、公務員など様々です。

ただ、「運動部学生の就職に関する意識調査」によると、「就職活動の際の企業選択のポイントは」という設問に対し、「企業経営が安定している」、「福利厚生制度が充実している」といった回答が上位に入り、1つの企業で長く働きたいといった安定志向が強いと感じられます。

一方で、「先輩やエージェントが勧めてくれたから」、「大手だから」といった理由で企業の選考に進む体育会の学生が多いのも現状です。

そのため、自己分析不足のまま不採用になる、採用になってもミスマッチから早期離職につながる、といったケースも見受けられます。

例えば、陸上の元十種競技の日本チャンピオンは、早期離職から就職先を転々とした経験があります。

しかし、畑違いのガス会社での勤務が、自分のキャリアを振り返るきっかけになりました。

「ケガした時に自分を助けてくれたスポーツトレーナーを養成する手助けをしたい」

それから鍼灸師を養成する専門学校の職員に転職しました。

後悔せず自らのキャリアを歩むためにも、就職活動を始めるまでに自分がどんな方向で働きたいのかを考えることが大切なのです。

体育会の学生が引退後のキャリアを考えるために必要なことは?

体育会に所属する学生は卒業後、だれもがいつかは必ず引退する日を迎えます。

9割の学生が卒業と同時に就職します。競技を続けるアスリートも、人によって時期は違いますが、引退します。

すべてのアスリートは、「人」としての人生と、「競技者」としての人生を同時に送っています。「デュアルキャリア」という考え方です。

次の人生のスタートをスムーズに切れるようにするためには、十分な準備や経験を重ねることが必要です。

だから、大学時代に「競技者」としての人生が終わった後のことを考えるのをおすすめします。

まずは1日の1%、15分で構わないので、自分がどんな人間なのかを知るところから始めてみましょう。

自分の興味の方向を知るきっかけにもなります。

また、就職するなら経験しておきたいのが、インターンシップです。

体育会の学生の多くが就職活動をします。

そのときに「なんとなく…」で就職先を選ぶと、ミスマッチが起こる可能性が高いのです。

「運動部学生の就職に関する意識調査」によると、インターンシップに参加したことがあるのは、一般学生が85%に対し、体育会の学生は37%にとどまっています。

「合宿や大会で忙しい」というのが影響していると考えられますが、参加した学生からは「希望業界を問わず勉強になった」、「働くイメージがついた」、「違う業界も見てみたいと思った」という声が寄せられたそうです。

練習や合宿、大会との兼ね合いもあるでしょうが、自分の将来を考える機会です。

指導者らと相談して参加できるようにしてみましょう。

まとめ

体育会に所属する学生の多くが、大学卒業と同時に競技から離れ、就職することが分かりました。

大学の卒業と同時にアスリートのキャリアにピリオドを打ち、新しいキャリアがスタートします。

そこでつまずかないためにも、デュアルキャリアの考え方を取り入れることが大切です。

競技に打ち込むだけでなく、競技で培った強みや経験を次のステージでどう活かせるかを考え、言語化することが、次のキャリアで花を咲かせるカギになります。

忙しい体育会の学生だからこそ、早めに、1日の1%である15分という無理のない範囲で、自分の未来を考える時間を取ってみることをおすすめします。

 

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